Notionを社内のドキュメントツールに採用するケースが観測できる範囲で増えてきた。ご多分に漏れず私が働いているTimeTreeでもつい最近 Kibela からNotionに移行した。同僚の Trevor と一緒にNotion移行をリードして、使い方についてふたりで随分と試行錯誤した。
Notion先輩、知恵と工夫次第でできることがたくさんある。ありすぎるので逆に困ってしまうケースもあるようだ。我々人類はまだNotionを3%程度しか使いこなせていないように思う。今日は移行で工夫したdatabaseの使い方についてメモ。
Notionの真価
ドキュメントのたどりやすさにあると思う。階層構造をつくりやすくパンくずもついて分かりやすい。
他ツールと比べてわかりやすいのは Google Docs だろう。あれはすべてのドキュメントが単体で存在する。Google Driveのフォルダで情報整理をしたりドキュメントを相互にリンクさせたり相当意識的にやらないと管理がたいへんだ。
組織の情報透明性やオープンさの重要性はいろんなところで語られているが、Notionの「たどりやすさ」はそこを多少補完できると思う。逆にNotionをつかってもたどりやすさをきちんとデザインできていないと意味がなさそうだ。
移行の課題
昨年夏頃にNotion機運が高まってトライアルを重ねていた。使ってみていくつか課題があったがいちばんはこれ。
”自分と関わりの薄いチームやプロジェクトのドキュメントと出会いが少なくなる”
あれ? Notionってドキュメントのたどりやすさが良いんじゃなかったの? これNotion to Slak通知の貧弱さもあるのだが、じつはトライアルをはじめたとき「ドキュメントのたどりやすさ」をうまくデザインできていなかった。こういう状態だった。
それぞれのメンバーがドキュメントをつくって共通の場所(Homeと名付けていた)に記事を投稿していた。しかし社内には多数のチームがあり複数のプロジェクトが動いている。運用が進むとHome以外にチームやプロジェクト単独のページが生まれ、その下層にドキュメントが乱立するようになったのだ。これは問題!
DatabaseとRelationに活路を見出す
ドキュメント群の乱立と情報の探しづらさ(+出会いづらさ)を防ぐために考えたのがDatabase運用と連携だった。こう変えたのだ。
すべてのドキュメントを格納する場所をひとつに限定。チームやプロジェクトのページをつくる場合は、かならずドキュメントDBに投稿したページで構成するようにしたのだ。
さらに「メンバーDB」「グループDB」「タグDB」をつくって合計4つのDatabaseが出来上がった。それぞれのDBの役割はこんな感じだ。
- ドキュメントDB 記事を投稿するDatabase
- メンバーDB メンバー一覧を登録するDatabase
- Notionはもともとユーザー情報があるがデータベースになっていないので独自につくる必要があった
- グループDB 「ひとの集まり」と定義してチーム、プロジェクト、部活動などさまざまな単位を登録するDatabase
- タグDB 記事にふるタグを登録するDatabase
そして4つのDBを全部つなぎ合わせた。リレーショナルデータベース!
Relational databaseのつくり方
4つのDB間をどうやってつなぎ合わせるのか? ここで役立つのがdatabaseのpropertyで設定できる「Relation」だ。
方法は結構簡単だ。
- databaseをつくる(スラッシュコマンド
/database
が便利だ) - つくったdatabaseにproperty
Relation
を追加する - つなぎたいdatabaseを選択する
- 同じ要領でつくったdatabaseをすべてつなげる
つくったすべてのDBをRelationでつなぎ合わせると、それぞれのDBに追加されたページ同士をリンクすることができる。
これを設定しておくと、たとえばメンバーDBから特定のひとを参照した場合に、その人に紐づく他のドキュメントへも辿り着けるようになる。たとえばグループDBにつくられたhogeプロジェクトのページを参照すると、プロジェクト内でつくられた別ドキュメントも辿れるようになる。タグDBを活用すれば特定のタグを設定したドキュメントだけを一括で引っ張れるようになる。
DatabaseとRelationを使ってすべてのドキュメントを網の目につなげればトライアル当初の課題を(完璧ではないが)クリアすることができた。
Notion完全移行から3ヶ月ちょっと経ったと思うが、4つのdatabase連携はうまくワークしていると感じる。そろそろみんなからフィードバックをもらって振り返りと運用の見直しをしなければ。
知恵と工夫で今後もチームや組織にフィットしたドキュメント運用をしていきたい。